一 冗談じゃない!

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「・・・っ・・・っ」 恵瑠は今の状況を否定したいので精一杯だった。言葉になんて表したくなかった。流れてくる涙を手のひらで押さえ込んだ。今、ここに、この世界に恵瑠を知っているものは誰一人いないのだ。寂しくて、心細い、悲しくて信じられない。タイムスリップなんて。 「大丈夫、こんなとこだよ。みんなわけありさ」 女は恵瑠をそっと抱きしめた。恵瑠より背が低い女が一生懸命に恵瑠を抱いてくれたその手はとても暖かかった。
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