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年々ズレっぷりが顕著になっている伶の将来がちょっぴり心配になってくる。
心配しなくても、それを補って余りある才能があるから、大丈夫なんだろうけど。
何か考えるように、うろうろと視線をさまよわせていた伶は、ちらりと私を見た。
「喜ぶかと、思って」
ぽつり、と伶は呟く。
「りっかが、見てるだけで幸せなの、わかってる。だけど、知り合うくらい、いいと思う、から」
「……」
私を気遣ってくれてのことだって、わかってる。わかってる、けど…。
「…知ってるくせに、どうしてそういうことするの」
ちょっとの非難を込めたつもりの言葉は、思った以上に非難がましく響いた。
自分じゃあんまりわからないけど、やっぱり私、怒ってるのかな…?
内心首を傾げる(自分のことなんだけどよくわからない)私をよそに、伶は視線を下に向けて、困ったように眉根を寄せた。
「…ん。そう…だけど、」
駄々っ子のような声音で、伶は言い募る。
「せめて、名前くらい…知ってても、いいんじゃないかって」
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