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私を窺うように見る伶に、思わず苦笑した。
まるで怒られるのを怖がる子供みたいだ。
伶は私に甘い(ただし私の意思は結構無視する)けど、私も伶に甘い。
それは今更、変えられるようなことじゃないんだけど。
ふっと時計に目を向けて、また伶に視線を戻す。
「伶、そろそろ時間でしょう。行かなくていいの?」
「…りっか、は?」
尋ねられて、珍しいこともあるものだと不思議に思う。
私の放課後の行動なんて、聞くまでもなくわかってると思ってたんだけど。
「いつも通り、図書館に行くつもりだけど……」
そう言うと、伶はちょっと目を細めた。
…あれ、なんか、怒ってる…?
「……駄目」
「え?」
駄目って、なんで?
伶と約束でもしてたかな、と思ったけど、心当たりはない。
考えてるうちに、また伶が口を開いた。
「…今日は、駄目。…連れて来いって、言われてる…」
「連れて来いって、」
「ゆうにい、怒ってた…」
……あ。
一瞬、思考が止まる。
…どうしよう、すっかり忘れてた。
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