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『ゆうにい』。
伶がそう呼ぶ人は、一人しかいない。
伶の四つ上の兄――宮内夕。
私に定期的に顔を見せるようにと厳命を下してきた人物でもある。
顔を見せるようにっていうのは、必要があってのことなんだけど…ここ最近、それを思いっきり忘れてた。
意図的に忘れてた、っていう部分も無きにしも非ずだけど…。
…多分、一ヶ月くらい会ってない気がする。
私としては、そんなに重要じゃないっていうか、会わないなら会わないでいいと思ってるんだけど、夕さんはそう思ってないだろうし…。
……ああ、やっちゃった。
怒ってる、よね。
伶、『怒ってた』って言ったし。
夕さん、普段の態度もアレだけど、怒るとすっごく面倒なのに。
いや、その事態を招いたのは私なんだけど。
私は深く溜息を吐いて、渋々伶と一緒に帰ることにしたのだった。
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