13人が本棚に入れています
本棚に追加
額から手が離れていく。
目を開ければ、難しい顔をした夕さんが見えた。
…何もかも、いつも通り。
きっと、告げられる言葉もまた、変わらないんだろう。
夕さんが深く息を吐いて、そうして口を開く。
「……変化無しだ」
――…ほら、変わらない。
「そうですか」
小さく相槌を打っただけの私に何を思ったのか、ほんの一瞬、夕さんはその整った顔を歪めた。
何か痛みを堪えるような、苦しそうな、そんな表情だった。
それに、ぼんやりと申し訳ない気持ちになる。
私のことで、誰かがそんな顔をするのは見たくない。
でも、どんな反応をすれば良かったのかわからない。
だって、夕さんに何を言っても仕方がないから。
事実を確認しただけの作業に、一体何を思えばいいんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!