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この夕さんの行為は、言ってみれば『検査』だ。
『診察』と言い換えても良いかもしれない。
病気ではない、だけど私の中に確かにあるという『異常』を診るためのもの。
その『異常』は、宮内の特異性に関わるもので、当事者であるはずの私にはよくわからない。
でも、特にそれで困ったことはない。
だって、最初からそうだったから。
『異常』の存在を教えてくれたのも、それがどういうものか説明してくれたのも、宮内の人達だった。
今でも私は、その『異常』を感じとれない。
病気みたいに、わかりやすい兆候はないから。
だから、夕さんに告げられる結果が全て。
『異常』についてよくわからないままでも、説明はされたから、夕さんの言葉の意味はわかる。理解している。
『変化なし』という結果が――
私の命の期限が、変わっていないということ、
冬が過ぎて、春が来る、それくらいまでしか生きられないということを示すくらいは。
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