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私、如月律花の朝の日課は3つある。
ひとつは、前日に借りた本を、誰もいない早朝に返すこと。
ひとつは、誰もいない教室の窓を全開にして、朝焼けの広がる空を眺めること。
そして最後のひとつは、ある人の登校を見届けること。
気づいたらどれも習慣になっていたけど、最後のひとつはちょっと変わっていると自分でも思う。
その人は、ちょうど登校する人が増え始める、始業30分前くらいにやって来る。
角度と距離の関係で、ちゃんと顔を見たことはない。
でも、多分人目を惹く容貌なんだろう。
ちらちら彼に視線を向けてる人もいるし。
…つまり、格好いいのかな?
使っている昇降口が同じだから、多分学年は一緒。
でも、教室のある階は違うみたい。
階が違えば接触もないし、今の今まで廊下ですれ違ったこともない。
だから、私はその人の名前すら、知らない。
朝の数分。
その姿を見るだけで、私はなんだか幸せな気分になれた。
それだけでいいと、思ってた。
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