不可思議な世界

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  「ここはブラウ国。ニケリア地方のトルシア村近くの森よ」 「そんな国は聞いた事がない!」 「もっと小さな声で喋れよ、オッサン」  青年が言い終わるか終わらないかのうちに、真後ろから不気味な鼻息らしきものと大きな影が被さって来た。 「ば、化け物っ!!」 「ほれ見ろ。言わんこっちゃない」  額に角を生やした、一つ目の巨大生物が私たちを見下ろしていた。 「行くわよ、アイスブロー!」  甲高い少女の声と共に、氷の粒を含んだ一陣の風が直線に飛んで行く。  少女の右手から噴出したその風は、そいつの足元に当たった。 「ギィィイーッ!!」  両脚が凍りつき、おぞましい悲鳴が森の中にこだまする。 「よくやった、サミーナ! じゃオレの番だな。エレクトリックスラッシュ!」  今度は生き生きとした声の青年が、両刃の剣を振りかぶり突撃する。  剣はバチバチと放電しながら、そいつの頭と胴体を斬り離した。  そいつは声を上げる事なく倒れ込んで、どすんっと地面を揺らした。 「お疲れ、ザイク。やったわ、コイツ回復草と10000チプも持ってた」 「おー。サイクロプスにしちゃ結構だな。ラッキー!」  青年と少女は化け物が腰に巻き付けていた、汚らしい布の袋を覗き込んでいる。  そして袋から取り出した黄緑色の草を、私に差し出してきた。  
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