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俺は、
「おかえりなさい、マサムネさん」
「シズスナ、」
俺は、かつての仲間をたくさん斬ったよ。かつての、お前の部下も、レオニールの部下も、陛下の部下も、俺の部下も。陛下の為に、レオニールの為に、ネクロスに行っちまった昔の仲間を、たくさん。
「なあ、俺は、よわいな」
大陸一の剣士がなんだ? 故郷が滅びちまえば、同朋を斬るただのひとごろしだよ。
鮮やかなルスランの血を見た。俺が流させた。死にゆく『敵』のまさむねさま、という口の動きが忘れられない。覚えていたよ、お前は俺の直属の部下だったよな。
なあ、
「シズスナ、お前は、強い」
「……マサムネさん」
暖かさに包まれる。心が、締め付けられる。
陛下を助け出す時もアザルトに残った。俺は怖かったんだ。怖いんだ。泣かないでと抱きしめてくれるお前の優しさも怖いんだ。(この優しさ、アザルトでも十分に味わったさ)
「俺は、もう、みんなに会いたくねえよ」
会えない、――俺が会えなくしてしまった仲間が、どれだけいるだろう。壊れたものは、元に戻らない。
また、アザルトが敵だ。再び、壊してゆく。
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