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―――
森田「……うーん」
あの事故、というか明らかな事件からどれだけ時が経ったのでしょう。
森田は生きていました。
そして無傷でした。
目を覆いたくなるほどの大惨事だったにも関わらず、サングラスにしろ背広にしろ、事故前となんら変わりありません。
森田は、ぼんやりとした意識のまま目を開けるとそこは、見知らぬ部屋でした。
全体が汚れの無い真っ白で、家具や装飾品の類が一切ない神秘的な雰囲気の部屋で、唯一出入りできる扉があるだけです。
森田は床に寝かされていたようでした。
???「気が付いたか?」
その時、豪華絢爛とは言えませんが決して地味ではない着物を着た聡明そうな風貌の中年の男性が部屋に入ってきました。
その男性を、森田はニュースで見た覚えがありました。たしか、アメリカで開催された射撃大会で、見事優勝を飾られたのを祝杯した内容だった筈です。
森田「え? あれ?……っ貴方は……もしかして、天皇陛下……ですか?」
森田はその男性を見ると、まず唖然。
次に恐る恐る訊ねました。
天皇「ああ、私は天皇だよ。そんな事より、すまないね。私の部下が無茶をして、傷は治しておいたから安心したまえ」
森田「ああ、はい……大丈夫です………。
ってえええええええええええええええええええええええええええええええええっ!!
マジで貴方、天皇ですか!?」
森田が絶叫しましたが天皇は、流石です。
表情を一切変えず、当たり前のように、勿論当たり前なのですが――言いました。
天皇「ああ、私は天皇だ。それ以上でもそれ以下でもない。――今回、君には非常に大切で、優先的な話がある」
日本国天皇がそこにいました。
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