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私が、そう言うと男は、これ以上ないと言う笑顔を向けた。
「いいえとんでもないしかし、かならずしも、いい結果が待っているとは、かぎりませんよ、ふぇふぇふぇ」
私は、その時には、男の不気味な笑いにも、意味深な言葉にもまったく気を止めないで、手渡された魔導器を触って悦に行っていた。
私は値段を聞こうと男の方を見た。
しかし、男は、もう、そこには、いなかった。
そして私は、自分の部屋で目覚めた。
「夢か…・」
私は、それからしばらく、その事を忘れていた。
ところがある日…・
その日は夕方から雨が、降り始め、夜半には、ざんざんぶりになっていた。
付き合いで酒を飲んだ私は、何故か気が、焦っていて、代行も呼ばず、こっそりと、乗って来た車のハンドルをとった。
強い雨が私の視界を、遮りワイパーが気違いのように、フロントガラスの上で左右する。
私の脳裏に突然不安が首をもたげる。
やはり、車を捨てた方が…・
そんな事を考えたために対応が遅れたのだろうか?
私は黒い小さな影が、目の前を横切るのに気がつくのに遅れた。
私は急いでハンドルを切り急ブレーキを踏んだ。
しかし、間に合わなかった。
ギャーと言うネコ独特の声にフロントガラスに被った真っ赤なカーテン。
しかし、そのカーテンは、強力な雨に、一瞬にして流された。
ザブーンと水に、突っ込んだような衝撃を受けて車は制動能力を失った。
私は必死に車に、しがみついた。
二転三転して車は、やっと止まった。
私はドアを開けて車外に出た。
すぐ近くに私の哀れな被害者が転がっていた。
四肢をだらんとし、体全体の臓物をはみ出し残った片目で天空を見つめる一匹のネコ。
あーもう、どうしようもない。
私は顔を背けた。
医者で死体に、なれてる私も自分の被害者を正視する事は出来なかった。
私は片手で拝むと車に戻ろうとした。
片目のネコ?
私は、ある衝動に刈られてネコや車の周りを雨に、ずぶ濡れに成りながら探し回った。
そして、ある物を見つけ出した。
白くてコロコロしているちっぽけ物。
私は、それをハンカチに包み、キチガイのように車を飛ばして家へ帰った。
家のドアを開けて中に飛びこんだ私は、まるで水死体でも蘇ったように水をたっぷりふくんだズボンの裾で床をずりながら寝室まであるいた。
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