5人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、ある予感と共に寝室に入った。
照明をつけた私の目は、部屋内を監視カメラのようにサーチし、ベットの上で、有るものを見つけた。
そう、あるはずがない、あるものを
私は、それに吸い付けられるように近づきジット見つめた。
そして私の前に3D映像が展開された。
その映像のアングルは、かなり仰角になっていた。
わかっていたような気がしたが、やはり、思った物とは、違う映像だった。
次々くり出され映像はまったく未編集で順番がバラバラであったが、それでも一匹のネコの生きて来た足跡を辿るには充分な物だった。
魚、追いかけてくる犬の姿、低い位置から見る地上の風景。
籠に入った小鳥。
かわいい女の子の顔も写っていた。
こぼれるような慈悲ぶかい笑顔で、こちらを見ていた。
きっと、このネコの飼い主だろう。
愛されていたんだ。
私の心の中に哀れみと後悔の感情が巻き怒った。
あの時私が、もう少し気をつけていれば
しかし、その感情も怯える鼠の体が無惨に引き裂かれるにあたり、きれいに、ぶっ飛んだ。
その後突然映像が切れた。
私は魔導器を、恐る恐る調べ始めた。
どうゆう構造か、構造その物に意味が、あるのか?
そんな事を考えながら箱の周りを触りまくった。
そして、眼球のセットが悪いのかと思い、窪みを覗いて見た。
そして原因が、わかった。
セットしたはずのネコの眼球が、あとかたもなく消えてしまってるのだ。
後には水濡れのような跡が、残っていた。
私は、それを指ですくって匂いを嗅いでみた。
蛋白性の生臭い嫌な匂いが私の鼻をついた。
間違いなく、この湿りがメンタマのなれの果てである。
このような意識な体験を、したにもかかわらず私の生活に、大きな変化は、現れなかった。
動物の眼球なら、手に入れる事は、造作もないが、そのためには、動物に危害を加えなきゃならず、残酷趣味でありながら慈悲深さも合わせ持つ矛盾した性格の私には、それは容認出来ない事であった。
最初のコメントを投稿しよう!