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それからスッとジンの前に行き
フッと振り向く
紗『ねぇ…ピアノ聞かせてよ』
ジン『…は?』
俺がお願いしたらなんともジンはマヌケな顔をしていた
ちょっと吹きそうになっちまった…
気を取り直して…
紗『だから…ピアノ聞かせろよ…ワトソン君?』
ニコリと笑いながら言うとしぶしぶといった風に練習室に案内してくれた
殺風景な防音室にグランドピアノと二個の楽譜置き
ドアを閉めるのと
ジンが椅子に座ると同時だった
ジンがやや嫌そうに
ピアノの蓋をあけて布を取る
その様子を俺は
壁にもたれかかって見ていた
ジンは布を取り
シの♭を押す
ポーン
その音が部屋に広がる
俺は目を閉じる
4びょうしで最初はpppから始まる
クレッシェンドに入りfになる
黒鍵演奏に変わり戻る
mp…pp…f…
流れるような演奏…
だけど…
変わってない…
あの頃からしばらくたってるが…
全然変わってない…
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