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今さっきまでの勢い任せの演奏ではなく曲全体を想像して演奏する
ゆったりと
だがほとんどが不協和音で奏でられた曲
演奏のレベルは下がったけど
満足する演奏になる
今の俺と…
過去の俺…
重ね合わせた曲みたいだな…
演奏が終わりピアノから手を外して目をあける
紗『…どうだった…?』
ジン『…最初は…俺の追いかけてる人にそっくりな演奏だったけど…後半は…』
言い表せないのかジンは言葉につまる
ってか…
ジンに追いかけてる奴なんか居たのか…
なんとなく気になり
訪ねてみたい気持ちになる
紗『ワトソン君の追いかけてる人って誰?』
ジン『…5年前…日本のコンクールで…俺の後に演奏した奴…』
5年前!?
5年前のコンクールは
俺が出た奴じゃないか?
それにもし俺でも
有り得ない
ジンは優勝して俺は銀賞だぜ?
それにこの馬鹿が覚えてるはずがない
紗『…そいつは…どうしてる?』
ジン『知らない…後にも先にも…表には出てこなかった…』
ジンが話すそいつは俺に似すぎてる
紗『名前…わかるのか…?』
ジン『…シン…』
それって…
俺がコンクールの時に使ってた名前じゃねぇか…
紗『クッ…クハハハハハハハ…』
この馬鹿が覚えてたとは…
しかも追いかけてる!?
自分のが世間に認められてるのにか!?
ジン『な…何笑ってんだよッ!!』
紗『クハッ…コホッ…悪い…』
顔を真っ赤にさせたジンに笑い過ぎて息が出来ない状態でも誤る
でもまさか…
思い出して欲しいとはおもったが
追いかけてるとはな…
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