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エース
それは、投手ならば誰もが憧れ、目指すもの。
これはごく普通の一人の少年がエースを目指す物語ーー
家の窓から朝日の光が入り、鳥の声が聞こえてくる。
中川叶太(ナカガワ カナタ)は手を伸ばし、時計を取り、時間を確認した。
「なん……だと……? 8時10分だと……?」
学校につかなければならない時間は8時30分。ここから学校は20分の距離。完全に遅刻。叶太の顔が青ざめてきた…
「……入学式から遅刻なんてシャレになんねぇよ!」
布団から起き上がり、急いで一昨日届いたばっかりの新品の制服に着替えて、自宅を出る。
「今は8時15分、全力疾走すれば間に合う!」
今なら車に勝てるんじゃないかーーと思わせるような速さで走り、10分ほどで叶太が今日入学する華空高校が見えてきた。
私立華空高校ーー偏差値が普通より上で野球部はなかなかの中堅校。叶太は偏差値は高い方なのでそれ程苦労せずに合格できた。
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