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ピッ…ピッ…
モニターが一定のリズムで機械的な音を奏でる。それからのびる無数のチューブは、まるで鎖のように少年の華奢な身体を縛りつけるかのようだった。
少年の名はアヤト。西野綾人。幼少時から入退院を繰り返している。
その髪はシルバーブロンド。元は黒髪だったが、薬の副作用で色は抜けてしまった。目の色も同様に色が抜け、澄み切った青色になっている。
その端正な顔立ちも手伝ってか、綾人は若干16歳でどこか神秘的な雰囲気を醸し出していた。
「綾人、ただいま」
プシューというエアロックの解除音と共に、抗菌室の自動ドアが開いた。そこから笑顔を覗かせているのは綾人の父である西野彩人(にしのさいと)だった。彼もまた端正な顔立ちで、容姿だけなら20代後半に見える。
「お帰り、父さん。今日は遅かったね。残業?」
綾人は鼻を通して入れられる酸素を外し、笑顔で彩人を迎える。
「おい綾人、酸素付けといていいんだぞ…
「大丈夫!それで、今日は何かあったの?」
「いや、実はプレゼントを買うのに手間取ってね…綾人、ずっと前からこれ欲しがってただろ?」
彩人は満面の笑顔で綾人にアタッシュケースを手渡した。
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