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「わぁ…何だよ父さん!僕の誕生日覚えてくれてたんだ!ありがとう…」
綾人は銀色に光るアタッシュを嬉しそうに眺めると、開けていい?という視線を彩人に向ける。彩人は微笑みながら頷いた。
「ん?これ…もしかして…」
綾人は目を輝かせた。もし自分の予想通りなら…
「『WISH WORLD』…?」
「そうさ!綾人、誕生日おめでとう!」
パーン!と軽快なクラッカーの音が響き渡る。同時に看護士さんの怒号も聞こえてきた。
ー病院で何やってんですかぁあああああ!!ー
「やべぇ…また怒られる。けど、綾人は喜んでくれたよな?」
ケーキはないが…と頭をかく彩人に、綾人は満面の笑みを見せた。が、一瞬その表情が曇る。
「父さん、僕…いつも貰ってばっかでごめんね、医療費だけでも馬鹿にならないのに…プレゼントまで…」
「おめぇ何言ってんだ!?すったら事ぬがすてる暇あったら、さっさと病気治すて母ちゃんの墓に元気な顔見せれ!」
彩人は綾人を励ますためにおどけて怪しい東北弁を使い始めた。
「ふふっ、分かったよ。ありがとう」
「んだ。わがればいんだ。父ちゃん明日の会議の準備があっからこれでけぇるけど、また明日くっから!いい子にしてろよ?」
そう言って彩人は二重の自動ドアを出て帰っていった。
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