産声

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「ゲホッ…!さ、酸素…」 綾人は彩人を見送るとすぐに呼吸補助器具をつけた。長時間つけていないと少しきつい。 「……ふぅ」 呼吸がおちついてくると、綾人はアタッシュの中のものを取り出した。 『WISH WORLD』 望みの世界。開発のコンセプトは、 非現実の現実化。 アタッシュの中には、カチューシャと目を完全に覆うアイモニター、ヘッドフォンの三つを合わせたようなヘッドギア。それと、通信・管理用の小型サーバー、そして取り扱い説明のためのメモリースティックが入っていた。 「わぁ、すごい!」 綾人はPCを立ち上げ、メモリースティックをスロットに差し込む。 すぐに取り扱い説明のファイルが開かれた。 『ヘッドギアを装着して下さい』 PCから音声で指示が出る。綾人は黙って指示に従った。そしてヘッドギアの電源にタッチする。 …キュイーン サーバーが自動で立ち上がった。 「えーっと…このヘッドギアはサングラス型の光学ディスプレイと5.1chサラウンドのヘッドフォン、それに…ブレインフィーリングシステム?を内蔵した『WISH WORLD』専用ツールです…ブレインフィーリングシステム?何それ?」 すると、ヘッドフォンとディスプレイにブレインフィーリングシステムの説明が流れ始めた。
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