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綾人はやっと自分がいる町に気づいた。辺りを見回すと、ちらほらと人の姿が見え、遠くからは人の笑い声や家畜の鳴き声が聞こえる。
どうやらここがはじまりの場所のようだ。綾人はわくわくが抑えられずに中心部へと走り出した。
「すっごい…まるで現実だ」
背景といえばいいのだろうか。あまりにリアルすぎる大地や空は、現実とほとんど差がない。
その町の風景からはのんびりとした田舎町という印象を受けた。町の中央に立つ風車と、小さな川のせせらぎが心に落ち着きを与えてくれる。
「いい町だな」
「ありがとうよ!」
綾人が呟くと、30代後半の大男に声をかけられた。髭面に筋肉質な身体で、綾人とは正反対のタイプだ。
「あ、いえいえ…おじさんは町の人?」
「あぁ、そうだ。この町で細々と酪農をやっている。ランドだ。よろしくな!」
ランドは日に焼けた笑顔で楓に右手を差し出した。綾人も握手に応える。
「綾人です。じつは僕ここに来るの初めてで…色々教えてくれると嬉しいんだけど。いいですか?」
「もちろんだ!よろしくな綾人」
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