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公園にある水飲み場の蛇口を捻る。
チョロチョロと出て来た水でハンカチを湿らせ、制服をとんとんと叩く。
もう、全然落ちないじゃん。
あの、ブサイク。
後で倍返ししてやる。
「大体、あんなブサイクの男にちょっかいなんて1つも出してないし、誰があんな男にちょっかいだすか。頼まれてもしないわよ。」
幸い、明日から夏休みだし、制服を着ることはない。直ぐにクリーニングに出せばどうにかなるだろう。
「明日、母さんたち、帰ってくるね。」
隆は葉の隙間から洩れるキラキラとした太陽の光に目を細めながら言った。
明日は両親が帰ってくる。
両親が帰ってくる前に、この間の出来事はないことにしなければ。
この気持ちを清算しなければ。
「満里奈、どっか行こうよ。」
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