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ターゲットが不意に、駅前の喫茶店に入った。
俺も、数テンポ遅れて店に入ろうとすると…
「…あの、すみません、店内は満席なんで。」
と店員に止められた。
仕方あるまい。
店内を見渡しても、ぎっしりと人で埋まっていて、俺の入る余地はなかった。
休日の昼時だ。
しかも、最近オープンして人気の喫茶店らしい。
しょうがない。
そうですか、と一言いい、店外に出る。
店外のオープンテラスに一席だけ、空席を見つけ、そこに腰を落ち着けた。
しばらくすると、店員がやってきて、注文を取る。
それに、俺はブラックコーヒーとだけ答え、ジャケットの胸ポケットから小説を取り出した。
これなら、人を待っているように見えないわけでもない。
ちらりと、店内のターゲットを見ながら、文章を読む。
ページをめくり、頼んだブラックコーヒーが来るのを待つ。
もう少し、ここでうじうじしていなければならなさそうだ。
視線の先のターゲットは、何か料理を注文したらしい。
オードブル代わりのサラダを食っている。
そんな時だった。
「ここ、いいですか?」
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