2635人が本棚に入れています
本棚に追加
ここはとある建物の一室。
部屋の中央にベッドだけが置かれており、その他の生活雑貨が何一つない殺風景な部屋。
まさに寝るだけの部屋。
唯一あるベッドには―
「……………すぅー……すぅー………」
気持ち良さそうに眠っている、一人の少年がいた。
部屋は少年の寝息だけで、雑音もなく静寂を保っていた。
しかし――その静寂は突然破られた。
ピンポンパンポ~ン~
壁から、電子的な音が鳴り響いたからだ。
そして、続けて―
「えー…刀夜君、朝凪刀夜(アサナギトウヤ)君。至急、ギルドマスター室まで来て下さい。もう一度繰り返します。刀夜君、朝凪刀夜君。至急、ギルドマスター室まで来て下さいー」
ピンポンパンポ~ン~
突如流れた放送。
"朝凪刀夜"という名の人物は、まさに今、現在もベットで爆睡している少年のことであるが―――起きる様子が全くない。
・
・
・
放送から20分ぐらいが経った頃―
ピンポンパンポ~ン~
またしても、壁から電子的な音が鳴り響く。
そして続けて―
「えー……刀夜君、朝凪刀夜君。至急ギルドマスター室まで来てください。二回目ですよー。早く来て下さいー」
ピンポンパンポ~ン~
再度同じ内容の放送が流れたが―
「…………………………すぅー……………すぅー……」
呼ばれている張本人はというと――起きる様子が全くというほどなく、気持ちいいほどに熟睡していた。
最初のコメントを投稿しよう!