プロローグ

2/10
前へ
/191ページ
次へ
ここはとある建物の一室。 部屋の中央にベッドだけが置かれており、その他の生活雑貨が何一つない殺風景な部屋。 まさに寝るだけの部屋。 唯一あるベッドには― 「……………すぅー……すぅー………」 気持ち良さそうに眠っている、一人の少年がいた。 部屋は少年の寝息だけで、雑音もなく静寂を保っていた。 しかし――その静寂は突然破られた。 ピンポンパンポ~ン~ 壁から、電子的な音が鳴り響いたからだ。 そして、続けて― 「えー…刀夜君、朝凪刀夜(アサナギトウヤ)君。至急、ギルドマスター室まで来て下さい。もう一度繰り返します。刀夜君、朝凪刀夜君。至急、ギルドマスター室まで来て下さいー」 ピンポンパンポ~ン~ 突如流れた放送。 "朝凪刀夜"という名の人物は、まさに今、現在もベットで爆睡している少年のことであるが―――起きる様子が全くない。 ・ ・ ・ 放送から20分ぐらいが経った頃― ピンポンパンポ~ン~ またしても、壁から電子的な音が鳴り響く。 そして続けて― 「えー……刀夜君、朝凪刀夜君。至急ギルドマスター室まで来てください。二回目ですよー。早く来て下さいー」 ピンポンパンポ~ン~ 再度同じ内容の放送が流れたが― 「…………………………すぅー……………すぅー……」 呼ばれている張本人はというと――起きる様子が全くというほどなく、気持ちいいほどに熟睡していた。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2635人が本棚に入れています
本棚に追加