●第1⃣章●さっちゃんの歌

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「《行っちゃう》ってのは 《逝っちゃう》つまり死ぬって意味なんだって」 棒読みした後に愛美は言った。 「あたし初めて知ったよ」 友香も考え深げに言う。 「じゃあ… 『さっちゃんの歌』はこれでいいってこと?」 そう前置きして,あたしは『さっちゃん』を歌った。 ①『さっちゃんはね さちこって言うんだ ほんとはね だけどちっちゃいから 自分の事 さっちゃんって呼ぶんだよ おかしいな さっちゃん』 ②『さっちゃんはね バナナが大好き ほんとだよ だけどちっちゃいから バナナを 半分しか食べられないんだよ かわいそうね さっちゃん』 ③『さっちゃんはね 遠くへ行っちゃうって ほんとかな だけどちっちゃいから 僕の事 忘れてしまうだろ 寂しいな さっちゃん』 「合ってる?」 「梓のとこにさっちゃん来ちゃうよ?」 「バナナ買いに行こうか?」 友香と愛美が心配してくれた。 「いいよ~ あたし『さっちゃん召喚』しちゃうから♪」 冗談混じりに言うと,2人は心配そうな顔を残してはいたが笑ってくれた。 .
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