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ゴッという音とともに大鎌は地面にたたきつけられていた。完璧に死角をとらえた攻撃と自信はいとも簡単に崩れさった。
「これは武器を貰ったってことでいいのかな?」
楓は大鎌を拾った。
「嘘・・・・・・どうして・・・・・・」
「『読んだ』からかな。まぁ、使わないけどさ。俺には君達を傷つける理由はない」
そう言って大鎌を地面に刺した。
「これで終わりかな?」
曹操に向かって走りだすと夏侯惇が曹操の前に立ち塞がった。
「華琳様には指1本たりとも触れさせん!」
その時、矢が5本飛んで来た。夏侯淵からの援護射撃だった。楓は矢を持ったままの左腕で全て払い落とし、走ることを止めない。
「はっ!!」
そう切り下ろしてきた夏侯惇の大剣の腹を拳でうち、軌道をずらすと顔目掛けて蹴りを放った。間に合わないと片腕で防ごうと構えたがそこに衝撃は来なかった。
「くっ!!」
そう声を上げたのは夏侯淵。蹴りはフェイントで矢を放ったばっかりで隙だらけの所を狙ったのだ。
間に合うか、冷静沈着の夏侯淵は矢を番えようと3本取り出した。2人の距離が10メートル程になったとき、既に矢を番え、狙いを定めていた。
普通なら反応出来ない距離。矢から手を離した。
夏侯淵は一瞬何が起こったかわからなかった。バチンという音がし、弓は反動で手から抜け落ち、飛んでいって楓を貫くはずの矢は力無く真下に落ちていた。楓が左手に持っていた矢の鏃で弦を切ったのだ。
「馬鹿な・・・・・・」
確かにあのままだったら既に楓はこの世に存在していなかっただろう。夏侯淵に見せていたあのスピードは全力でなく、直前に10メートルの距離を一瞬で縮める程の速さを出したのだった。
「まずは、1人目」
矢を夏侯淵の首に触れさせ、囁いた。そしてそのまま夏侯惇へと向かっていった。
接近してくる楓に対して夏侯惇は正面に剣を構えた。先の事もあり、出来るだけ引き付ける。
「これで仕留めてやる!」
ほとんど振りかぶらずに横一閃の懇親の一撃を放つ。しかし、それさえも楓は両手を地面にすらせる様にしゃがんで避ける。
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