出会い→戦闘?

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「ちょっと失礼するよ」 と右手を夏侯惇の顔の前に差し出すと開く。すると砂が夏侯惇の顔にかかる。避けたときに掴んだものだった。 「うっ!」 目に入り、思わず目をつぶった。その隙に夏侯惇の大剣を手から奪い取り、眉間に突き付けた。 「逆に仕留められちゃたね。2人目終了っと。あとひと・・・・・・」 楓の余裕の発言は横からの黒い影によって打ち止められた。 「あら、油断は禁物よ?」 曹操があの捨てられていた大鎌を持って立っていた。いや、立っているだけなら問題はない。迫力、とでも言えるものがあるのだ。並の人ならば気絶は免れないほど溢れ出している。  本当にあの曹操なのか。楓、そして梨音の疑心は確信へと繋がっていた。数多の修羅場を乗り越えなければこのようなことは出来ないと本能が告げている。 「だから、油断は禁物と言ったでしょ?」 斬りかかってくる曹操の攻撃を避ける。避ける。避ける・・・・・・。彼女の攻撃は当たれば確実にダメージを与える威力があり、そのうえ隙が見当たらない。 「当たらなければどうということはないよ」 「あら、そっちこそ攻撃してこなかったらどうということはないけど」 挑発しあう2人の行動は変わらない。 「華琳殿はお強いですね」  そのとき、曹操の攻撃が――素人にはわからないが――少し大振りになった。そこに楓は距離を縮め、軽く曹操の右肘の外側をこんと叩いた。 「痛っ・・・・・・!」 腕が痺れ、動きが止まった曹操の右肩を押す。倒れまいと浮かせた右足を払い、倒させた。 「っ!くっ・・・・・・」 曹操が立とうとしたときには既に拳を振り下ろしていた楓の姿が見えた。殺される。そう感じて目を閉じた。  ダンッ!という音がした。恐る恐る目を開けると左側に腕が見えた。 「俺の勝ちだ。さぁ、願いを聞いてもらうよ」 今までとてつもない武を繰り出していたとは思えないほどの笑みを浮かべた楓が言った。
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