イチブトゼンブ

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「……明日、学校だよね。」 「そうですねー…なんか、変な感じです。」 俺と松本さんはツアーが終わって、これからはオフ。 悠奈もツアーが終わってオフのはず…… だけど、これから本業が始まる。 ツアー中は、学校からプリントを送ってもらってそれをやっつけってるって感じだけれども、オフならそういうわけにはいかない。 「え、なんで?」 「ずっとギター握ってた手が、シャーペン握るんですよー。なんか、違和感感じますよ。」 「ねぇ、川澄はライブと学校どっちが好き?」 松本さんの問いかけに悠奈は一瞬、迷った…… けれど、答えを出した。 「ライブ、ですよ? ……だって、松本さんと稲葉さんに会えるじゃないですか。」 「……そっか、」 松本さんがクスクス笑いながら、席を立った。 「川澄、ごめん。ちょっと出かけるよ、30分で戻る。」 「え?松本さん?」 松本さんは、俺に意味ありげに目配せした。 ………、そういうことか。 リーダーが出て行ったあとは、俺と悠奈の二人きり。 「悠奈、」 「……なんですかー、稲葉さん?」 「君の中で、俺はイチバン?」 そうですよ、とぼそぼそいう悠奈を抱き寄せて。「じゃあ、俺のイチバンも、悠奈かな?」 ……君の全部を知るのも、君に僕の全部を知ってもらうのも、到底無理。 けど、僕は、君のイチバンになりたい。 だから、僕は探すよ。 ……君を愛し抜けるポイントを。 終わり
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