だからその手は離さない

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「松本さーん。」 「……なんか、懐かしいな。」 名鉄月見ヶ丘線、月見ヶ丘駅。そこに降り立つ、二人の男。 二人ともサングラスと帽子で素顔が見えないようになっていた。 松本と呼ばれた男が、駅前の噴水を見上げる。 …テンガロンハットとサングラスで隠れて表情はうかがえない。 「ここら辺で…会ったんだよな。」 彼が隣に立つ男に話しかけた。 長身に、癖っ毛の髪。 顎のほくろが特徴のその男は答えた。 「そうだね………」 そうして二人は思い出す。 ………とある夏の暑い日を。
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