だからその手は離さない

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たどり着いたのは駅前の噴水だった。 帰宅途中の高校生から、買い物帰りの主婦、たくさんの人ががやがやと周りを囲んでいる。 松本と稲葉は、帽子をしっかりとかぶりなおすと、人ごみをかき分けて、音の出所を見た。 エレキギターを操るのは一人の少女だった。 駅前にたくさんいた制服姿の一人。 ……エレキギターを駅前で操っていなければ。 稲葉は松本の隣で息をのんでいた。……そうでもしなければ歌いだしそうな音色。 彼女が曲を弾き終えると、それでライブはおしまいなのか、お金をおいて人々は散り散りになっていく。 ……けれども、稲葉と松本の二人はそこに立ったまま動かず、後片付けをする少女をじっと見つめていた。 少女がもくもくと片付ける中…… 松本が口を開いた。
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