1ラウンド 憧れ―その1

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 はじめて彼女を見かけたのは、拓巳が大学に通いだして間もない頃だった。  そのとたんに彼女から眼が離せなくなった。  バスから見える中野通りの桜並木がちょうど満開の時期で、彼女の存在は、その満開の桜のように、東京で独りぼっちだった拓巳の心にほのかな幸福を与えてくれた。
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