第三章:真っ赤な悪魔

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「死んだな、あの坊主…」 「可哀相に」 「柚衣ぃぃいぃーっ!!」 人々がそう小言を言う。 消火活動もまだ続いているが、全然役にたっていない。 「祐希…。…ん?」 真理亜は腕に当たった感覚に両手を広げて空を仰ぐ。 ポツッ…ポツポツ… 雨だ。 気付いた間もなく、すぐに本降りになる。 ザァアァァァ… 人々達から歓声が上がった。 これで炎も消火されるだろう。 「わあぁぁ柚衣ぃぃー…っ」 「奥さん…」 母親はずっと泣いている。 近所の人達は切ない目で母親を見る。 父親もやるせない状況だった。 「あ、おっおい!!」 近くにいたおじさんが声を上げ、皆は一斉に視線を向けた。
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