第四章:病人と海翔

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「ハァ…ハァ…」 えらそうに息をあげる。 旅館の自室に着くと布団を急いで敷いてもらい、祐希はすぐに浴衣に着替えて横になった。 火傷をした所も手当てをしてもらった。 片足にはシップと包帯が巻かれている。 祐希の熱は38.7度だった。 「もう…こんな季節に川飛び込んだら風邪引くに決まってるでしょっ!」 「…っ」 季節の事なんて一言も教えてくれなかっただろ…。 つか、水で濡らさないと家ん中飛び込めなかったし。 俺が行かなきゃ柚衣は確実に死んでた…。 などという小言は全て荒い呼吸にのまれた。 「ホント馬鹿なんだから。今体調どう…?」 真理亜は洗面器に入った冷水にタオルをつけ、ギュッと絞る。 馬鹿? 馬鹿ですが何か? 馬鹿上等だクソ女… そんな事を思うのだが、今は病気に体を支配されてしまっている。
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