第四章:病人と海翔

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「頭痛ぇ…」 「他は?」 「…ダルい。…寒い」 「完全に風邪ね」 真理亜は絞ったタオルを祐希の額にのせた。 頭痛、だるみ、寒気… 見事に風邪独特の症状。 吐き気がないのはまだ良い方だろう。 「薬とか…ねぇの?」 「薬も、この世界は…」 「マジかよ…っ」 祐希はふぅっと吐息をつく。 風邪なんて滅多に引かないのにな… 最後に引いたのはまだ小学生の頃くらいか? こんなえらかったっけ…。 「ま、治すのは寝るのが一番だから早く寝なよっ!私はちょっと柚衣ちゃん達の所行ってくるから」 そう言って真理亜は部屋を出て行った。 ぽつんと一人、残された病人…。 こんな状態じゃ「寝なよ」ですぐ寝れる訳ない。
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