第四章:病人と海翔

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「渇いたタオルも持ってきたんですけど、汗…拭きます?」 「…いい」 「治りませんよ?」 「治す…」 祐希は腕を額にのせる。 クラクラしてきた…。 胸元辺りに違和感を感じて目を少し開くと、浴衣がはだけていた。 「やっぱり駄目です!!汗、拭いて下さい」 「お前…っ」 反発する前に、目の前に渇いたタオルをずいっと持ってこられた。 「…」 仕方なく祐希は体を起こす。 それだけでかなりダルかった。 タオルを受け取り、祐希は腹部から汗を拭き取っていく。 「お前…名前は?」 祐希が隣りで正座する少年に聞いた。 「か、海翔です!!海に翔ぶって書いて海翔!!」 漢字まで説明した。 律義なヤツ…。
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