転校生

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「西森真って何者だ?」 要と雫はリビングにいた。 クッションを持ち丸まってしっかり抱き締めている。 「前の学校で一緒だったの」 「何でそんなに避けるんだ?」 「あいつ、しずくが男だってこと知ってるの」 「えっ?」 「偶然着替えているところ見られちゃったの」 「男だってバラされなかったのか?」 「いい奴じゃないか」 雫は首を横に振る。 「黙っているから付き合えって」 「それで付き合ったのか?」 「ううん、しずくのタイプじゃないから、ずっと断っていた」 「バラされなかったのか?」 「うん、しずくもあいつの秘密知ってたから」 「秘密?」 「…あいつゲイなの」 「えっ?」 「男同士でキスしているの見ちゃたの。 女の子たちに人気があったから誰も信じてくれなかった。知っているのは一緒に見た友達だけ。 しずく同性愛者じゃないから… こうみえてもやっぱり男だよ」 クッションをしっかり抱き締めた。 要は雫の隣に座ると髪を撫でてあげた。 「要はかわいい男の子だからな」 「要姉さま」 「男でも女でも構わない。雫は雫だから」 「うん」 雫の瞳から涙がこぼれ落ちる。 要は雫の肩を抱きよせ寄りかからせた。 「私が守るから」 「姉さま」 「約束だろ?私が守るって」 「姉さま…ありがとう」 「泣くな、雫はいつも笑顔でいてくれ」 「うん」 雫は涙を拭った。
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