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次の日
「要さまーおはようございます」
「おはよう」
毎朝恒例の取り巻きたちの声で1日が始まる。
雫は浮かない顔をしている。
「大丈夫だって」
気遣って要の肩を抱く。
「おはよう、いい朝だね。安城雫くん。安城要さん」
西森だった。
「その呼び方やめてくれる?」
「逆かな?雫ちゃん。要くん」
「ふざけるな」
「本当のことだろ?
雫はよくバレないようにしてるね。どこから見ても女の子だ。
かわいいよ。
要くんも学ラン似合ってるし、お似合いのカップルだね」
「うらやましいだろ」
投げやりに要は言う。
「ああ、うらやましいね。出来れば俺が雫の隣にいたいくたいだ」
「残念でした。私の隣は雫の指定席だから」
要は雫の肩を抱いた。
「妬けるな」
「西森も私たちに構わないで女子のところに行ったら、ほら、待ってるぞ」
辺りを見回す。
西森を見ているたくさんの女生徒の姿があった。
「それとも男の方がいいか?」
要は意味ありげに言う。
「おまえ…」
西森の表情が変わる。
「放課後、話しがある。屋上で待っている」
要が言った。
「分かった…」
そう言い残すと西森は女生徒のところに行った。
「姉さま、危険だからやめて」
雫は心配そうに言う。
「大丈夫だから、雫は安心してろ」
「姉さま」
「私が守るって約束しただろ」
「うん」
不安そうな雫。
「心配するな」
要は優しく微笑んだ。
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