撮影

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カシャッ、カシャッ カメラのシャッターの音がする。 「雫ちゃん、いいよ。その調子、かわいいよ」 赤を基調をしたワンピース、髪は巻き髪にしていた。 まるで人形のような安城雫はポーズをとっていく。 「かわいいね」 ニッコリ微笑む雫だった。 「次は要ちゃん、雫ちゃんは次の服に着替えてね」 「はーい」 雫はセットから降りた。 「要姉さま頑張って」 「要ちゃん早くー」 「はいはい…」 王子系のグリーンのフリルのついた上着。ハーフパンツに白いタイツ。 要は渋々セットの前に立つ。 「表情固いよ、もう少しリラックスして」 「はーい」 投げやりに要は返事した。 「クールな表情でね」 言われる通り、少し笑みを浮かべた。 「いいねぇ、カッコいいいいよ」 そんな二人を要の母、司が見ている。 「二人ともいいわね」 プロの視線で二人を見る。 本格的にブランドの準備は出来ていた。 要と雫をイメージして作ったブランド。 『チェリーブロッサム』 店舗の準備も着々と進んでいる。 「司おばさま、どうですか?」 新しい服に着替えて雫は司のところに行った。 白いワンピース。 スカートの前は短く後ろは長くなっていた。 パニエを履いて、ふんわりと膨らんでいる。白いレースの手袋。フリルのついたオーバーニーソックス。髪にはコサージュの付いたヘッドドレスをしていた。 まるでウェディングドレスのようだった。 「雫ちゃんは何着ても似合うわね」 「そうですか」 嬉しそうにはしゃぐ雫だった。 「要はちょっと慣れてないみたいだけどね」 セットの方に目をやる。 相変わらず仏頂面である。 「要ちゃん、そんな顔しないで。もっと笑顔」 「せっかく王子系にしてあげたのに、要はダメねぇ」 呆れる司だった。 「要姉さま、笑顔、笑顔ー」 雫が叫ぶ。 「はいはい」 すると要は笑顔を見せるようになる。 「おっ、いいねー。要ちゃん」 ポーズを変えながら要は応じた。 「よし、OK。次の服着替えて」 「はーい」 「次の終わりだからねー、セット変えて」 スタッフがセットを変えて行く。 しばらくして、要は着替えてやってきた。 白い燕尾服タイプの服。 白いブラウスはフリルがたくさんついている。ハーフパンツに白いタイツ。 髪をおろし後ろにまとめて白いリボンで結ばれている。 「要ー似合うじゃない。二人とも並んだみて」 要の隣に雫を立たせた。
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