転校生

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休み時間になると、女生徒は隣のクラスを覗きに行った。 「雫も行こうよ」 「しずくはいいから」 「そんなこと言わないで」 仕方なく雫も行った。 皆は入り口で様子を伺った。 「いたっ、あの人よ」 少し長い髪はブラウンでゆるいウェーブがかかっている。 整った堀の深い顔立ち。瞳はブルーだった。 どうやらハーフのようだった。 「カッコいい」 こっちに目をやると微笑んだ。 「キャー!」 隣のクラスの子に名前を聞く。 「ねぇ、名前なんていうの?」 「西森真よ」 西森は女生徒に囲まれていた。 「西森…真…」 そのとき西森と雫は目が合った。 雫は慌てて教室へと戻った。 「雫、どうしたの?」 雫は自分の席に座った。 「なんで、なんであいつが…」 頭を抱える。 「雫、どうした?」 人気のない教室の真ん中あたりの席の雫は妙に目立つ。 要は雫のそばまで来た。 「何でもない…」 雫は顔を覆う。 そのときだった。 西森が教室に入ってきた。 女生徒はざわつく。 「何で?」 西森は雫を見つけるとそばまで来た。 「会いたかったよ。 安城雫くん」 そう言い後ろから抱き締めた。 「キャー」 「どういうこと?」 クラス中がざわつく。 「離してっ!」 「つれないなぁ、久しぶりに会ったのに」 「あんたなんか知らない」 西森を振り払おうとした。 「相変わらずつれないなぁ」 「離せよ、嫌がってるだろ」 要は雫から腕を離させた。 「君が安城要さんか、噂は聞いたよ」 「どんな噂か知らないけど雫に手をだすな」 「分かったよ。今日はこれくらいで。またね、雫くん」
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