雨 穿つ 夜

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「小悪魔、第5書架、代替物錬成の関連書籍全部持ってきて」 怒気の混じった声。激昂こそないが、それは焦りと諦めを押し殺した結果の相殺的な余りである。 「はい」 小悪魔の乾いた声と同時に、館の雑事全般を担うはずの妖精メイド達も目的の書架へと動き出した。 今、この紅魔館に意味を成している建造部位は僅かに2部屋、あるいは通路を含めて10も無かった。 その1部屋はここ、ヴワル図書館。 そして、もう1部屋、 妖精メイドの集う数からすれば、その部屋は役割的にはほとんど意味を成さない。 しかし、 同時にその部屋こそが、今の紅魔館の全てだった。 雨は降りしきる その全てを押し流さんと それは或いは誰かの願いか この残酷な運命と それに抗う賢者達 その全てを否定も肯定もせず ただ観ているだけの神をこそ押し流してほしいと そう願う、“誰か”の願いか―
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