十五夜

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「あ…これ美味しい…」 支配人から貰ったと真壁が持ち帰った日本酒は、篠崎の口に合ったようだ。 食事と共に出したそれを嬉しそうに飲んでいる篠崎を見て、真壁は目を細めた。 「…いいけど、飲みすぎるなよ?」 「え?大丈夫ですよ」 にっこり笑う篠崎の言葉が、どれほどあてにならないかは今までの経験からよく判っている。 医師であるくせに自分の限界に気付かず、どんどん飲んでは腰が立たなくなる。 酔って肌をほんのりと染めた篠崎は妙に艶かしくて、まるで誘っているように見える。
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