十五夜

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「月…か…」 篠崎と心が通じ合いはしたものの、2年という留学期間の中で何度こうして空を見上げただろう。 時差を思いながら篠崎を想い、焦がれる気持ちを持て余していたのはほんの1年前の事。 蜜月のようなひとときの逢瀬を持って、旅立って行った恋人。 最初のバカンスは篠崎が帰国し、次のバカンスには真壁が旅立った。 同じだと思っていた気持ちには温度差があって、篠崎の迷いを許した真壁の隙を突いて、他人が割り込んで来た。 真壁が後悔したのは言うまでもない。
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