十五夜

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「どうかしました?あまり外にいると風邪をひきますよ」 暫くたっても帰って来ない真壁を心配して、篠崎が後を追って来る。 柔らかな微笑みで隣に立つ篠崎を愛おしいと思う。 職場では敏腕で知られる医師の篠崎が、自分の前でだけは無防備に笑う事を知っているから安心できる。 「…真壁さん…?」 ことん、と寄せた頭がゆっくりと真壁を降り返り、潤んだ瞳が見上げてくる。 傍目にも判るほど紅く染まった肌。 意識はしていないのだろうけれど誘うように添えられた指先。
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