光太 ―1日目―

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遊歩道を少し歩くと、僕の泊まっているペンションはすぐに見えなくなった。 そこから先は、なだらかに下って川原へと続いている。 山ン中だというのに結構日差しがキツい。 「あーツマんねーツマんねー」 鬱陶しいくらい鳴き続けるセミの声に負けないくらいの声量で、死ぬほどどうでもいい独り言を言いながら、僕は半ば無意識に川原のほうへ足を向けた。 ペンションから少し離れた所に、白いお洒落な家が見える。 一見して金をかけた事が分かるその家は、親父の話によるとどこかの金持ちのセカンドハウスらしい。 「金持ちの別荘か……けっ!」 その家の窓ガラスに石をぶつけてやりたい衝動と戦いながら、僕は川原へ下りる道を歩いた。
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