光太 ―1日目―

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確か、中学校の卒業式で流れていたなーー 聴き覚えのあるクラシック音楽の流れるその川原には、既に先客がいた。 川原を見下ろす大きな岩の上に腰掛けた、白いワンピース姿の少女が、僕の視界に飛び込んできた。 クラシック音楽は、少女の手にしたバイオリンから聞こえてきている。 うわぁ、こんな所でバイオリン弾いてますよこの人。 声をかけづらい。かと言って黙って踵を返すのもなんだか変だ。 「……」 ―― 変な緊張感がしばらくの間、僕を包んだ。
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