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「で、本当にどうするんですか?部活」
「聞くな。まだ保留だ」
時は放課後、そして帰り道。
今だに悩む俺は部活表片手にミオと話している。
文化部を見ると文芸部や華道部に書道部など男子率が少ない部活動ばかりだ。
「なんかなぁ。性に合わないっつーか」
「運動神経がよろしいのに運動部はダメなんですか?」
「そんな暇あったら皇帝学を学ばされる」
親父は俺を立派な跡取りにするために、やれ礼儀作法やれ剣道など世間に出してもいいように日夜俺を鍛えている。
そのせいかテストや部活では結果がついて来て嬉しかったがその分周囲から浮いていた。
「ただいま戻りました」
「お帰りなさい一色坊ちゃん。雅樹様がお呼びです」
「うぇー。嫌だな」
長い廊下を歩いて親父の部屋の前に立って深呼吸する。
襖を静かに開けて頭を下げる。
「……只今戻りました」
まるで魔王に睨まれているように親父の視線が頭に突き刺さる錯覚すら覚える。
親父の肩書きは『東の若獅子』らしくまぁ恐ろしいったらありゃしない。
覇気というか雰囲気が怖い。
キレたらの話だが。
「ん。ひーくんお帰りー!!」
「その呼び方はやめてください。ちぃが真似します」
「ちぇー。ケチだなぁ」
こんな親父は嫌だ。
こんだけ権力のある親父がこんなノリのいいとかありえん。
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