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「おはようさーん。今日から授業始まるさかいしゃっきりせぇよな」
「佐久良ちゃんの授業はー?」
「先生は三限からや。残念だったな」
いきなり教師をちゃん付けする女子は命知らずだな。
佐久良も佐久良で、気づいているのかどうかわからないが注意しないのはどうかと思う。
渡された時間割を見ると一限は現代文らしく朝礼もさっさと終わった。
これが担任もちょっと心配だな。
「なかなか積極的な女性が多いようですね」
「狩る目だ。あれは」
「素敵な殿方を探しているんですよ」
身分を考えれば嫌でも許婚の一つや二つあるだろ。
机に頬杖をついて時計を見ていると、視界の端っこにあった扉が開いて教師が入って来た。
歳はよくわからないが(疎いらしい)頭の禿げ具合を見て四十代半ばだろう。
俺達生徒を起立させて簡単な説明を始めた。
「一年の内容は配ったプリントを見てください。単元ごとに少テストします」
「えー。難しい?」
「漢字や簡単な文章問題ぐらいだからやればできますよ」
「(やればって投げやりだな)」
左手でペン回しをしていると、どこからともなく四つ折の紙が飛んで来た。
広げれば手紙らしく文面には『昼メシ一緒に食おうぜ☆by大塚』と書かれていた。
一列目の斜め後ろを見ると大塚がひらひら手を振っていた。
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