友達の定義

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昨日が入学式で今日が始業式。 教室に入れば寝ている奴や友達と喋っている奴がいて実に騒がしい。 花の高校生に浮かれているのか。 担任は未発表で始業式でわかるらしく担任について予想している奴もいる。 俺が席につけばちらちらと目線や内緒話が聞こえる。 「あいつだろ?噂の……」 「なんでも特待生らしい」 「ちょっとイケメンじゃない?」 「ウチは水色のほうかなー」 「バックにやばいのついてるらしいって」 どいつもこいつも好き勝手に言いやがって。 あながち間違っていない。 ちなみにバックは秘密だ。 よほどふて腐れた顔をしていたのかミオが声をかけたが眉間の皺は取れなかった。 誰だって嫌な話されたら不機嫌になるに決まっている。 ならなかったらただのバカか能天気でめでたいな。 だいたい中学の延長だってのにいちいち期待するかね。 自分と同レベルの人間と群れを成して何が楽しい。 ミオが声をかけるまでイライラが止まらなかった。 体育館に行けば教師の一人がマイク片手に指示に似た激を飛ばしていた。 全員揃ってパイプ椅子に座ればお決まりの校長の話。 あくびまじりに聞いていたら女子の黄色い声が耳を刺す。 うざい。 「えー、本年度から新任の先生が入ります。佐久良巧先生です」 壇上に目線を上げれば新米なのか少し緊張の色が窺える教師が立っていた。 染めたような茶髪にジャージのほうが似合いそうな新米はマイクに向かって喋っている。 「佐久良先生は1-Cの担任です」 C組って俺のクラスじゃねぇか 。
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