友達の定義

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やっと長い式典が終って教室に戻ればさっき紹介されていた新米がかっちり着たスーツからジャージに着替えていた。 青いジャージの上を腰に巻いてTシャツ一枚。 お揃いのジャージズボンを穿いている。 典型的な体育教師の服装。 俺の苦手なタイプ。 気合いとか根性とか精神論を押し付ける一番厄介なパターンだな。 なるべく極力避けよう。 「みんな揃ったか。そう構えずまぁ座ってくれ」 軽い。 それが第一印象で雰囲気も馴れ馴れしいというか大阪の人みたいだ。 良く言えばフレンドリー。 本当に世の中言い方次第だよな。 生徒を全員座らせて黒板に名前を書き勝手に自己紹介を始めた。 「新米の佐久良巧。歳は28で担当は保健体育で特技はバスケとパソコン!!質問はあるか?」 「はいはい!!先生は出身はどこですかぁ?」 「関西出身だ。標準語になるのに苦労した」 「えー?一回喋ってみてくださいよ」 「仕方ないな。ほな、まいどおおきに!!ってカンジ?」 聞かれてもなぁ。 しかし何故か女子はテンションが上がって騒いでいる。 よくわからん。 ニュースで方言を使う異性は魅力的に感じるって言ってたがこれがそれなのか。 「先生どうせなら関西弁でいればいいのにー」 「そうだよ、無理に標準語喋らなくてもさぁ」 「じゃあ……関西弁で行かせてもらうで?」 努力が水の泡じゃねぇか。
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