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「で、どうするんですか」
「……聞くなよ」
一色様は結局部活を決めずにずるずる引きずって今の昼休みにまで持ち込んでしまった。
お母様の百合様特製弁当をつつきながら渋っている。
「お前はどうするんだよ」
「私は一色様が行く所全てについて行きます」
「言うと思ったよ」
私は一色様をお守りかつお世話するのがお仕事。
一色様が望むならどこまでもお供します。
流石に悪の道を歩むのは出来かねますが。
「そこの従兄弟達!!一緒に飯食ってもいいか?」
誰かに声をかけられ振り向けば、少し脱色された茶色い髪が印象のクラスメートが立っていました。
早速制服を着崩しているのは余裕の証でしょうか。
彼が動く度に鉄がぶつりかう音がのチャリンと聞こえてそれがすぐ鍵束と理解。
「……誰?」
「ひでぇなぁ、大塚柊っつーんだ。一緒にいいか?」
青いチェック模様の包みを軽く掲げて人当たりの良い笑顔をする大塚様。
一色様は冷めた目で大塚様を頭から足の先をじろじろ見てらっしゃる。
一色様は初対面の方とはあまり話そうとしない。
人見知りが激しいのかただ単に興味がないのか無関心。
まぁ誰だって面識のない方からのお誘いは警戒されるものですがこの方は警戒心が人の倍以上ある。
そう簡単にイエスを出すような方ではないはず。
「好きにすればいい」
「私も」
「じゃあ失礼しまーす」
一色様の好きにしろは許可の印。
こうやってイエスともノーとも言わない返事をすることで相手がどう受け止めるかを息をひそめて伺う。
素直に接することが苦手で天の邪鬼なことを仰る。
そう言えば聞こえはいいかもしれませんが冷たく言えば素直に接することを恐れている。
大塚様いわくツンデレと言うらしいです。
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