真実

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「傘をさしながら、私達歩いて居たんです。片側四車線の道路で信号待ちしていました」 僕の心臓は走ってきたからなのか、悪い予感がするからなのか、激しく鼓動を速め、こめかみ迄脈打っている。 「その時、一人の女の子が、多分中学生位だと思います。その子が急に道路に飛び出したんです」 「今思うと、あの子自殺しようと飛び出したんじゃないかって思うんです。」 「じゃあ、晴香はその子を助ける為に?」 彼女は頷きながら「物凄い勢いでスポーツカーがやってきて・・・・それで」 「運転していた人は若い人で、今は警察が取り調べしていると思います」 病院は静まり返っていて、何人かの人が同情するように僕等を見ていた。 「自殺しようとしたその子は、気付いたらもう居なかったんです。誰かが救急車を呼んでくれて、私も晴香さんの傍に・・・・」 「それで、あの・・・・晴香の両親には?」 「私の方から連絡は入れました。・・・・ひどく取り乱してらっしゃって・・・・」 晴香の実家はここからだと車で3時間は掛かる所に有る。ヴィンテージ物のインテリアショップを経営している。僕の方が先に着いた様だった。 「そうですか・・・・もう少し僕も早く貴方の電話に出ていれば・・・・」 廊下の奥の方から警察が二人やって来て、僕に軽く一礼して大谷さんと離れていった。
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