103人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ
「なんだか、私達が結婚するなんて夢みたい」僕の肩に頭を預けながら晴香は言った。
「まだ、正式に決まった訳じゃないだろ?まずは晴香の両親からやっつけていかないとな」クスクス笑う晴香から微かにリンスの良い香がする。
「大丈夫。きっと健志の事気に入るわ。お母さんには前から話してるし、お父さんだって本当は男の子が欲しかったって言ってたし。健志の事お母さんケンチャンなんて呼んでるのよ」
晴香も僕も互いに一人っこだ。相当、晴香は可愛いがられて育てられたんだろう。
正直、僕には結婚するという実感は無い。子供がパイロットを夢見る様に、ただ漠然としている。
それでも、やはり僕にはこれから先、晴香以上の女性に逢う気がしなかった。
iPodからはシェリル・クロウの「Run、Baby、Run」が流れていた。
それから彼女を抱いた。最初「お酒くさい」と晴香は笑いながらキスをしていたが、服を脱がせていく内に微かな吐息に変わっていった。
「愛してるよ。」耳元で僕は囁き、「私も、愛してる」と彼女は応える。
終わる頃気が付くと、曲はアヴリルラヴィーンの「Slipped Away」が流れていた。
これが四月の夜だった。
最初のコメントを投稿しよう!