4月の夜

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「なんだか、私達が結婚するなんて夢みたい」僕の肩に頭を預けながら晴香は言った。  「まだ、正式に決まった訳じゃないだろ?まずは晴香の両親からやっつけていかないとな」クスクス笑う晴香から微かにリンスの良い香がする。 「大丈夫。きっと健志の事気に入るわ。お母さんには前から話してるし、お父さんだって本当は男の子が欲しかったって言ってたし。健志の事お母さんケンチャンなんて呼んでるのよ」 晴香も僕も互いに一人っこだ。相当、晴香は可愛いがられて育てられたんだろう。 正直、僕には結婚するという実感は無い。子供がパイロットを夢見る様に、ただ漠然としている。  それでも、やはり僕にはこれから先、晴香以上の女性に逢う気がしなかった。 iPodからはシェリル・クロウの「Run、Baby、Run」が流れていた。 それから彼女を抱いた。最初「お酒くさい」と晴香は笑いながらキスをしていたが、服を脱がせていく内に微かな吐息に変わっていった。 「愛してるよ。」耳元で僕は囁き、「私も、愛してる」と彼女は応える。  終わる頃気が付くと、曲はアヴリルラヴィーンの「Slipped Away」が流れていた。 これが四月の夜だった。
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